社会

須田が斬る タイ人も走り出した

投稿日:2017年9月7日 更新日:

 タイ電車公団(MRTA)のパープル線とブルー線が首都北西部のタオプーン駅で接続してから間もなく1カ月。これまで1・2キロに及ぶ不接続区間は、昨年8月のパープル線開通から1年にわたり無料のシャトルバスで輸送を担っていたのが、晴れて駅ホームのエスカレーターを1階移動するだけで乗り換えが可能になった。
 この接続は筆者が見るに、ノンタブリ県など郊外からバンコク都心への通勤、通学形態に驚くほどの変化をもたらした。
 ブルー線電車のタオプーン駅まで乗り入れが実現したのは先月11日の正午。王妃誕生日などで3日間の連休を挟んで接続後初めての平日となった15日朝のラッシュ時は明らかに前週より15~20%パープル線の利用客が増え、タオプーン駅発フアラムポン駅行き電車はスシ詰めの満員状態に。そして日を追うごとにパープル線の利用客が増え、ブルー線への乗り換えは長蛇の列となり、ラッシュ時で3~4分おきに入る電車も3回待ちでようやく乗車が可能となる混み方となった。混雑はさらにエスカレートして3階のパープル線ホームを降りた乗客が2階のブルー線ホームをめがけて我先にエスカレーターを駆け下り始めた。ほんの最近の2週間前後のことだが、あまりに急激な通勤風景の変化に驚くばかりだ。それは東京のターミナルである新宿駅や池袋駅で見慣れている風景そのものだ。
 もともと首都バンコクへの一極集中が目立つタイは、半世紀も前から通勤ラッシュはあったが、それは交通渋滞に耐えながら満員のバスに長時間揺られることだった。1999年末のBTS(スカイトレイン)や2004年のMRT(地下鉄)開通で事情はやや変わったものの、ラッシュと言っても人と人の間隔にまだ余裕があり、殺気立った東京の風景と比べれば、まだゆったりしたものだと筆者の目には映っていた。
 しかし、不接続解消後のタオプーン駅の乗り換え風景は、一気に東京に近づいてしまった感じで、交通機関の発達で人間の行動様式にこうも早く変化が出るのは予想以上のものだ。
 もちろんチケットの買い方や自動改札の通り方が分からずまごまごしている人も多く、外国人の立場ながらタイ人に自動券売機の操作を何度か教えて感謝された。
 それにしてもバンコクの電車の問題は車両編成が3、4両と短いことだ。人口700万人の大都会では7、8両の編成にしないと今後増えるばかりの利用客を収容しきれない。東京の地下鉄でも歴史の古い銀座線と丸ノ内線だけ6両という短い編成でラッシュ時は辟易とするが、これはホームそのものが短いので、どうしようもない。バンコクではBTSもMRTもホームは6~8両編成に対応できる長さに造られている。現在の計画では2020年代半ばで東京、ニューヨーク、ロンドン並みに網の目の電車網が実現する見通しのようだが、既存路線の編成車両数だけは早目に増やしてほしいというのが利用者の願いだ。
 (フリージャーナリスト・須田浩康)
(毎週木曜日掲載します)

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