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生活改善は停滞  ミャンマー政権交代1年  ロヒンギャで国際的批判

投稿日:2017年3月29日 更新日:

 半世紀以上も軍事政権が続いたミャンマーで、アウンサン・スーチー党首が率いる国民民主連盟(NLD)主導の政権が誕生して30日で1年。国家顧問として事実上の最高権力を握るスーチー氏に対する国民の人気は依然高いが、軍政時代に停滞した国内経済の立て直しと国民生活向上はなかなか進んでいない。また昨年秋以降、西部ラカイン州で続いているイスラム少数民族ロヒンギャと政府軍の衝突では政権の対応に対する国際社会からの批判も高まり、新政権のかじ取りは決して安泰とは言えない状況が続いている。

■大統領を超える立場
 昨年3月30日の新政権発足に際してスーチー氏が国家元首の大統領でなく、国家顧問という新しい地位に就任したのは、軍政時代に制定された現憲法で、配偶者や子どもなど近い親族に外国人がいる国民は大統領になれないとの規定があるためだ。このため与党NLDはスーチー氏の側近だったティン・チョー氏(70)を大統領に推し、スーチー氏は実質的にこれを超えるポストを新設した。外相も兼務するスーチー氏は日本、米国、中国など主要国との関係改善に着実な成果を挙げた。
■色濃く残る軍の影響力
 現憲法では、軍人議員が全体の25%を占めているほか、内務、国境、国防の国の治安に関わる閣僚ポストが軍人の指定席となっている。昨年10月以来続いているロヒンギャと軍の衝突では、国連が「大規模な人権侵害があった」と指摘。東南アジア諸国連合(アセアン)内部でも、従来の加盟国の内政不干渉の原則を崩してマレーシアがミャンマーの対応を激しく非難するなどこれまでにない動きも出てきた。
スーチー氏は昨年末、非公式緊急外相会議を招集して「火消し」に努めたが、軍に対する統率力の限界をむしろ露呈した。
 そして今年1月、ヤンゴン空港でNLD顧問を務めてきたイスラム系の弁護士が政府代表団の1人として外遊に参加し、帰国直後に射殺される事件が起きた。容疑者は軍につながりのある人物とみられ、政権内部で軍との確執が依然続いている一面をのぞかせた。
■基礎インフラまだ不整備
 軍政最後のテイン・セイン大統領時代、大きく開放路線に舵を切ったことから「東南アジアで最後のフロンティア」として外資が注目し、投資が流入したが、最近は遅々として進まぬ制度改革に投資家は警戒感を強めている。一番迫られるのが官僚機構や公務員制度の改革だが、首都ネピドー駐在の外国人政府経済顧問は「人々が慣れ親しんだ軍政時代の意識から抜け出せないのが大きな障害となっている」と指摘する。
 世界銀行によると、現在、ミャンマーに新規参入する外資プロジェクトの80%が石油、ガスなどエネルギー開発と通信分野に限られ、基礎インフラの整備が当面の課題で、市民生活を潤わせる経済活動の拡大につながらないのが現状だ。世銀によると、国民1人当たりの国内総生産(GDP)は1161㌦と旧宗主国だった英国(4万3876㌦)の40分の1に過ぎず、最貧国の水準から抜け出していない。

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