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タイ大学発ベンチャーを カタライザの交流も NEDOバンコク事務所長 古川善規さん

投稿日:2017年5月31日 更新日:

 「タイで大学発のベンチャーを育てたい」。日本最大級のエネルギー・環境・科学技術の国立研究機関である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)。そのバンコク事務所長を務める古川善規さん(48)は科学技術に関して、事業家の発見可能性や産業としての発展が見込めるシーズ(種)がタイにあるとして、大学や企業の可能性に期待を示す。

タイで起業支援

 NEDOは5年ほど前から日本国内でスタートアップ支援事業を始めている。特に2014年には日本で技術シーズの発掘から事業化までを支援する事業を実施。成長段階に応じて、適材適所の専門家を送るなどして支援する枠組みをタイで応用することを検討している。

 15年2月にはタイの国家イノベーション機構(NIA)と協力覚書を結んだ。古川所長は「日本には技術があるが、市場が適していないことが多い。一方でタイ側は農業分野などに市場が大きく残されているが、技術面でまだノウハウがない部分もある」として、日本側はタイ市場への参入を、タイ側は日本の技術を得ることで、互いの利点を生かせるとみる。

支援システムをタイに

 また、バンコク事務所の役割として、研究者らの海外への進出支援や事業化支援業務がある。

 特にタイでは大学教授などが、研究成果が事業につながるかどうかを見極めるのが難しいことがあるという。そうした際にNEDOが提供するのが「カタライザ」と呼ばれる存在だ。ある研究分野に詳しく、ビジネスモデル構築のスペシャリストであり、NEDOは日本に30人ほどを有する。

 古川所長はカタライザを用いた日本の支援システムをNIAに売り込むことで、タイでもテック(技術)系のベンチャー企業の創出が可能だとみる。「将来的にはタイと日本のカタライザの交流も図りたい」という。

 こうしたベンチャー企業やスタートアップの支援では在タイ日本大使館が主催する「エンバシーピッチ」があるが、「現在多くのフィンテックを始め、デジタル関連企業が参加しているが、今後3年以内にNEDOが強みとするテック系企業を送り込みたい」と意気込む。

 古川所長は「今年は1つでもいいから事例を作っていきたい」として、チュラロンコン大学やカセサート大学、マヒドン大学などとの提携を模索していく計画だ。(高橋佳久)

 【プロフィール】 ふるかわ・よしのり 1969年3月12日生まれ。日本大学理工学部工業化学科卒。北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科修了。91年4月NEDO入構後、産業技術開発部や環境技術部のほか、近年はアセアン諸国でのスマートコミュニティの実証プロジェクトに取り組む。2015年4月からバンコク事務所赴任。現在、エネルギーに関する実証事業のほか、スタートアップ支援に取り組む。

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