経済

先進地域へ頭脳流出続く アセアン出身高学歴者 ADBが研究報告

投稿日:2017年6月15日 更新日:

 アジア開発銀行(ADB)はこのほど、東南アジア地域から海外に移住した大学卒以上の学歴を持つ高学歴移住者に関する研究報告を発表した。それによると、2010年代になって東南アジア諸国連合(アセアン)10カ国から先進地域とされる経済開発協力機構(OECD:35カ国加盟)諸国に移住した高学歴者は2000年代に比べて66%増加の280万人に達しており、知識層の「頭脳流出」が依然として続いている傾向が明らかになった。

 報告をまとめたのはADBのジャンヌ・バタロバ、アンドリー・シモニャク、グンタル・スギヤルトの3研究員で、報告によると、フィリピン、シンガポール、ベトナム出身の高学歴移住者の10%近く、ラオス、カンボジアからの同約15%がOECD諸国に居住。さらにフィリピン、マレーシア、シンガポール出身のOECD諸国居住者の中で、高学歴者が占める割合は50%を超え、地元出身者の平均30%をはるかに凌いでいた。
■目立つタイ人の高資格
 また報告は東南アジアからOECD諸国への移民労働者は移住先各国で現在就いている仕事に要求される以上の資格を身に付けている場合が多いと指摘。フィリピン、ラオス、カンボジア、ミャンマー、ベトナム出身労働者の約40%がこれにあたり、中でもタイ出身者は52%に達するとしている。
 アセアン出身の高学歴者が先進地域を目指す理由について、報告は「高賃金、恵まれた労働環境のほかに、学術研究者にとっては教育、研究継続の将来性、優秀な頭脳集団に囲まれてのスキルアップの機会」などへの期待を挙げた。
 東南アジアは世界の中でも経済成長が目覚ましい地域にもかかわらず、優秀な頭脳の域外流出が続く現状について、報告は「特に医学、科学、工学、経営学分野の人材が失われていくことは将来、域内の経済、社会的発展を阻害する原因になる」と懸念を示している。

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